■ 教育システムの改革

教育が個人にとって、また、社会全体にとって非常に重要であることは誰しも認めるところだ。「教育改革」が常に叫ばれてきたが、時代の要請に対していつも遅れをとり、抜本的な改革がなされないできた。教育システムは、その重要性にもかかわらず、いわば、社会のなかでもっとも時代遅れのシステムになっていた。しかし、最近になって、様子が変ってきた。
まず、改革のスピードが急速に速くなった。たとえば、臨教審で提案された「地域に開かれた学校」が「学校評議員制度」として具体化するまでには十数年かかったが、2000年12月の教育改革国民会議最終報告書ではじめて提案されたコミュニティ・スクールは、2002年4月から文科省による「実践研究校」として全国9校でモデル校がスタートした。
また、この数年の改革は新しい方向性をもったものだ。学校選択制の普及、学校評価の促進、e-Learning利用、学校運営にアカウンタビリティが求められるなど、キーワードは、サービスの提供者ではなく需要者の視点を重視する「消費者(ニーズ)指向」および、情報共有や分権的ガバナンスを指向する「インターネット社会の到来」である。その結果、教育システムに、多様性、競争、参加、選択、情報開示、評価、費用対効果などという要素が加わり始めた。
この研究プロジェクトでは、教育システムの基本を学ぶとともに、コミュニティ・スクール、学校評価システム、IT 教育、e-Learning などいくつかのテーマを具体的にとりあげる。

■ コミュニティ・マネジメント

高齢者在宅介護、育児、教育などヒューマンサービス分野、食品の安全確保や環境問題から、オープンソースソフトウェア開発やビジネス支援まで、幅広い分野で、「コミュニティによる方法=コミュニティ・ソリューション」が社会的な問題を解決するアプローチとして注目を集めている。その背景には、「政府や行政にお任せ」か「企業や市場に委ねる」かのどちらかしかないという従来の考え方から、社会の問題は当事者同士が力と知恵を集めて解決しようという発想が定着してきたことがある。それらは、また、NPO(非営利組織)が活躍することが期待されている分野でもある。
コミュニティやNPOが単なる趣味の会や同好者の会にとどまらず、社会的問題解決の一翼を担うものだとすれば、行政や企業と同様に、成果や「コストベネフィット」が求められる。つまり、組織のマネジメントが問題になる。マネジメントの質を高めるには、「行った活動によって何がどれくらい達成できたのか」「設定した目標の達成状況はどうか」といったことをチェック(評価)し、改善へとつなげる「評価システム」の設計も重要となる。
コミュニティやNPOについては、自発性、当事者意識、「弱さの強さ」やメンバーの協力行動を誘発する素地(=ソーシャル・キャピタル)、社会参加や社会貢献など非営利な動機などが重要な要素になるので、そのマネジメントは、行政組織や企業組織のそれとは異なる側面をもっている。
この研究プロジェクトでは、地域コミュニティやNPOのマネジメントについて基礎的な事項を学ぶとともに、上記したような分野からいくつかのテーマを決めて効果的なコミュニティ・マネジメントについて具体的にとりあげる。